税理士の選び方|良い税理士を見分ける質問と顧問料相場、変えるタイミング
公認会計士・税理士の筧です。
良い税理士かどうかは、顧問料の高低ではなく「月次試算表をもとに経営の話ができるか」で見分けられます。申告書を作るだけの税理士は”後処理の専門家”、資金繰りや銀行対応まで一緒に考えてくれる税理士は”前処理の伴走者”です。この記事では、面談で聞くべき5つの質問と、税理士を変えるべきサイン、顧問料の相場、そして実際に切り替える際の注意点まで、順番に解説します。
良い税理士の見分け 5つの質問チェック早見表
面談や契約前に、次の5つを聞いてみてください。答え方で「後処理型」か「伴走型」かが分かります。
| 質問 | 何を見ているか | 「後処理型」の回答 | 「伴走型」の回答 |
|---|---|---|---|
| ①今月の消費税の納税予定額は? | 月次管理をしているか | 「決算のときに計算します」 | 具体的な金額と着地見込みを即答できる |
| ②融資を受けたいときの決算書はどう作るべき? | 銀行評価の話ができるか | 「銀行の話は分かりません」 | 評価される決算書の考え方を説明できる |
| ③役員報酬は今から変えられる? | 期首3ヶ月ルール・定期同額給与を押さえているか | 曖昧な回答、または「次期に相談しましょう」で終わる | 変更可否とタイミングを即座に整理できる |
| ④顧問料は何に対して払っている? | サービス内容が明確か | 「税務代理一式です」で終わる | 月次面談・資金繰り相談などを具体的に列挙できる |
| ⑤今の数字で一番気をつけるべきことは? | 月次で数字を追っているか | 「特に問題ないと思います」 | 直近の試算表を踏まえた具体的な指摘がある |
3つ以上が「後処理型」の回答なら、後段の「変えるべきサイン」も確認してみてください。
よくある質問
Q1. 税理士を変えると今までの資料はどうなりますか?
決算書・総勘定元帳・過去の申告書・会計データは会社の財産です。契約解除時に必ず受け取ってください。過去3〜5年分がまとまっていれば、新しい税理士への引継ぎもスムーズです(必要な保存期間は法定要件や個社の状況によって異なるため、詳細は顧問税理士にご確認ください)。
Q2. 税理士を変えるのに良いタイミングはありますか?
一般的には、決算直後が切り替えコストの低いタイミングとされています。期中に変更すると、前任者との引継ぎや会計データの整合性確認に手間がかかり、その分のコストが発生しやすくなります。最適なタイミングは個別の状況によって異なるため、迷う場合は顧問税理士や新しい依頼先に相談することをおすすめします。
Q3. 顧問料は高いほど良い税理士なのでしょうか?
そうとは言えません。顧問料は「その税理士がいることで増える手残りと、減るリスク」に対して払うものです。安くても月次で数字を追ってくれない税理士より、多少高くても資金繰りと銀行対応まで見てくれる税理士の方が、結果的に手残りは増えることが多いです。
良い税理士を見分ける5つの質問(詳細)
早見表の5つの質問は、すべて「この税理士は月次で経営の話をしているか」を確認するためのものです。
毎月の面談で必ず議題に上がるのが、消費税の納税予定額と役員報酬の見直し余地です。この2つに即答できない税理士は、決算のときにまとめて処理する「年1回タイプ」である可能性があります。年1回タイプでも申告自体は問題なくできますが、納税額を事前に把握できないため、納税期に資金がショートするリスクが上がります。
融資の話も同様です。銀行は決算書の作り方一つで評価を変えることがあります。融資予定のある期に「節税で利益を圧縮しましょう」としか言わない税理士は、銀行対応の視点が抜けている可能性があります。逆に「今期は融資予定があるので利益を残す方向で考えましょう」と提案できる税理士は、税務と資金繰りを両輪で見ていると言えるでしょう。
今の税理士を変えるべき5つのサイン
次の5つのうち、複数当てはまる場合は、変更を検討するタイミングかもしれません。
- 試算表が2ヶ月以上遅れて出てくる
- 融資相談をしても具体的なアドバイスがない
- 節税の話ばかりで、資金繰りや数字の話が出てこない
- 決算書の内容について、きちんと説明を受けたことがない
- 顧問料が何に対しての費用なのか、説明を受けたことがない
このうち特に見落とされやすいのが「試算表の遅れ」です。試算表が2ヶ月遅れているということは、今の経営判断を2ヶ月前の数字でしているということです。売上が伸びている時期は問題になりにくいですが、資金が減っている時期にこれが起きると、対応が後手に回りやすくなります。
顧問料の相場(年商別)
顧問料は事務所によって幅がありますが、一般的な目安として次のような相場感があります(市況や事務所により変動するため、最新の相場は事務所ごとの見積りで要確認です)。
- 年商1億円未満:月3万円〜8万円程度
- 年商1〜5億円:月8万円〜20万円程度
- 決算料:別途、月額顧問料の3〜6ヶ月分程度が目安
ここで大事なのは、相場より高いか安いかで判断しないことです。判断基準は「その税理士がいることで、手残りがどれだけ増えるか、リスクがどれだけ減るか」です。同じ月8万円でも、月次面談で消費税の着地と資金繰りを毎月確認してくれる税理士と、決算だけ対応する税理士では、提供している価値がまったく違います。安さだけで選ぶと、結果的に納税期の資金ショートや、融資に不利な決算書を放置するリスクを抱えることになりかねません。
税理士を変える手順と注意点3つ
実際に切り替える際は、次の3点を押さえておくと引継ぎが滞りにくくなります。
① 決算書・総勘定元帳・過去申告書・会計データを必ず受け取る
これらは会社の財産です。過去3〜5年分をまとめて受け取っておけば、新しい税理士が過去の傾向を踏まえた提案をしやすくなります(必要な保存期間は個社の状況により異なります)。受け取らずに契約を切ると、後から取り寄せに手間がかかることがあります。
② 切り替えは決算直後が比較的スムーズ
期中に変更すると、前任の税理士が処理した仕訳の引継ぎや、会計ソフトの設定確認などに余計なコストがかかりやすくなります。決算が締まった直後、申告が終わったタイミングでの切り替えは、双方にとって負担が少ない傾向にあります。
③ 最初の面談で期待する報告頻度・内容を明確に伝える
「月次で試算表を出してほしい」「消費税の着地は毎月確認したい」など、期待するサービス内容を最初に伝えておくと、後から「思っていたサービスと違う」というミスマッチを防げます。
月次面談で毎月確認すべき3点
税理士を変えた後、月次面談で最低限確認すべきことは次の3つです。これができているかどうかで、その税理士が「後処理型」か「伴走型」かが分かります。
① 今期の消費税の着地見込み
消費税は事業規模によっては年間で大きな金額になることがあります。事前に着地を把握しておけば、納税期に慌てて資金を用意することを避けやすくなります。
② 節税と銀行評価のバランス
節税は目先の税負担を減らしますが、決算書上の利益も減ります。融資を予定している期は、利益を残す方向で調整するなど、税務と銀行対応を両方見た判断が必要です。個別の判断は顧問税理士にご相談ください。
③ 売掛金残高と手元現金の動き
利益が出ていても、現金が減り続けている月が続く場合は要注意です。売掛金が回収できていない、在庫が増えているなど、利益と現金のズレの原因を月次で確認しておく必要があります。
まとめ:まず一つだけやるとしたら
今の顧問税理士との次回の面談で、早見表の①「今月の消費税の納税予定額」を聞いてみてください。具体的な金額が即答で返ってくるかどうかで、その税理士が月次で数字を追っているかが分かります。答えが曖昧だった場合は、変更を検討する良いきっかけになります。
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