税務調査の流れ|事前通知から当日、修正申告・追徴税額まで
公認会計士・税理士の筧です。
税務調査は「調査官が来た当日」で結果が決まるわけではありません。事前通知を受けた瞬間から、日程調整、資料準備、当日のヒアリング、指摘への対応、修正申告と、一連の流れの中で社長の対応の積み重ねが追徴税額を左右します。慌てて当日だけ取り繕っても遅く、逆に流れを知っていれば「探す調査」を「確認する調査」に変えることができます。
よくある質問
Q. 税務調査はどのくらいの頻度で来ますか。どんな会社が選ばれやすいですか。
法人の税務調査は目安として3〜5年に1回、国税庁統計では年間で法人の数%が実地調査を受けるとされています(業種・規模により異なるため最新統計は要確認)。選ばれやすいのは、売上が急増・急減した会社、同業比で利益率が低すぎる/高すぎる会社、前回調査から年数が経った会社、申告内容に不自然な数字の動きがある会社です。
Q. 指摘を受けると、どのくらいの追加納税が発生しますか。
実地調査で指摘があった場合の追徴税額は案件によって大きく異なりますが、単純な計上漏れなら過少申告加算税(目安10〜15%)、意図的な隠蔽・仮装と判断されると重加算税(目安35〜40%)、さらに延滞税(目安年2〜3%)が加算されます。悪質と判断されると調査対象期間も通常3年から最大7年程度に延長されることがあります。
Q. 調査の連絡が来たら、最初に何をすればいいですか。
顧問税理士にすぐ連絡し、対象税目・対象期間(目安として3年分)を確認したうえで、その期間の帳簿・領収書・契約書・請求書を整理します。通帳と現金出納帳の入出金を説明できる状態にし、社長個人と会社のお金が混在していないかも確認してください。調査官が最初に見るのは帳簿の整理状況で、整理されていない会社ほど深掘りされます。
なぜ7〜11月に実地調査が集中するのか
税務調査の実施時期には偏りがあります。1〜5月は税務署側が確定申告業務で手一杯になり、6月頃に人事異動があるため、実務上は7月以降に調査が本格化し、11月頃までに集中する傾向があると言われています。これは制度で決まっているわけではなく、税務署の業務サイクルによる経験則ですが、毎年この時期に顧問先から「通知が来た」という相談が増えるのは事実です。年商が数億円規模の会社で、前回調査から数年経っている場合は、この時期に備えて資料整理を前倒ししておくと落ち着いて対応できます。
フェーズ1:事前通知から日程調整まで
税務署から税務調査の連絡が入ると、まず「事前通知」が行われます。通知内容は、調査開始予定日、調査を行う場所、調査の目的、対象となる税目、対象期間などです。顧問税理士がいる場合は税理士にも通知が入り、社長個人に直接電話がかかってくることは少なくありません。
この段階で社長がやることは3つです。
- 顧問税理士に即連絡し、対象期間・税目を確認する
- 決算・繁忙期と重なる場合は日程変更を依頼する(調整は可能)
- 対象期間の帳簿・証憑の整理を始める
準備物の目安は、対象期間(通常3年分程度、悪質性が疑われる場合は最大7年分程度)の総勘定元帳、請求書・領収書、契約書、預金通帳のコピー、給与台帳、棚卸表、役員報酬に関する議事録です。この段階でどこまで揃うかで、当日の調査の深さが決まります。
フェーズ2:調査当日(午前ヒアリング・午後帳簿確認)
実地調査は多くの場合1〜2日、午前と午後で内容が分かれます。
午前:代表者・経理担当へのヒアリング
事業内容、取引の流れ、組織体制、特徴的な取引の経緯などを聞かれます。ここで社長本人が受け答えすることが多く、曖昧な記憶で答えると後の帳簿確認と食い違いが生じ、余計な疑いを招きます。事実のみを答え、わからないことは「確認して後日回答する」で構いません。
午後:帳簿書類の確認
総勘定元帳、請求書・領収書、契約書、通帳などを突き合わせながら、売上の計上時期、棚卸資産の記録、外注費と給与の実態区分、交際費の目的・参加者の記録、役員報酬の議事録、役員貸付金の有無などが確認されます。求められた資料だけを提示し、聞かれていないものまで先回りして出す必要はありません。
社長がやることは、顧問税理士に同席してもらい、質問への回答は税理士と分担することです。税務の専門用語で誘導的に聞かれる場面もあるため、単独で対応しないことが結果に直結します。
フェーズ3:指摘から修正申告・更正処分まで
当日または後日、調査官から「非違事項」として指摘が示されます。ここでの選択肢は大きく2つです。
- 修正申告:指摘内容に納得し、自主的に申告をやり直す
- 更正処分:納得できず、税務署が職権で税額を確定する
実務上は修正申告で決着するケースが多く、自主的に応じることで加算税が軽減される場合があります。一方、更正処分まで進むと不服申立て(再調査の請求・審査請求)が可能になりますが、時間もコストもかかります。
社長がやることは、指摘内容が事実に基づいているかを精査することです。証憑や記録で反論できる部分は反論し、妥当な指摘には早期に修正申告で応じる方が、結果的に加算税・延滞税の負担を抑えられることが多いです。判断に迷う場合は、独断で応じず顧問税理士・当法人にご相談ください。
フェーズ4:追徴税額の実際と資金繰りへの影響
修正申告または更正が確定すると、本税に加えて次の税金が発生します。
- 過少申告加算税:単純な計上漏れなど(目安10〜15%)
- 重加算税:隠蔽・仮装と判断された場合(目安35〜40%)
- 延滞税:納付が遅れた期間に応じて加算(目安年2〜3%)
追徴税額は本税だけでなく、これらが積み上がった金額を一括で納付する必要があります。数百万円単位の







