今回は「未払費用」についてです。第10回で未払費用の例をあげましたが、簡単に言うと、支払っていなくとも発生しているために費用に計上すべきものです。支払っていなくても経費が計上できる、つまり税金が減らせるということです。お金は出ていないのに費用が計上できるなんて、効果的な節税手段ですね!!
この点、税務上は未払費用を計上していないからといって特に何も言われません。しかし、未払費用は計上すべきものであり、把握することで簡単に節税につながるので、ぜひ未払費用になるものを探してみてください。
未払費用の一般例として、固定資産税、社会保険料、従業員給与、借入金利息などがあります。また、広告宣伝費などの諸経費で未払になっているものも、未払金として費用計上することができます。
未払費用の要件としては、
- 債務の確定 、
- 原因となる事実の発生、
- 金額の合理性
があげられます。
具体例として、従業員の3月分残業代を4月に支払う場合を考えてみましょう。
- は3月に従業員が残業していれば、4月に残業代を支払うことは当然ですので、債務は確定しているといえます。
- は3月中に従業員が残業しているため、やはり原因となる事実が発生しています。
- は、残業時間によって残業代が決まるので、金額も合理的です。
このような条件を満たせば、未払費用として計上できます。
ちなみに、仮に未払計上しなくても翌期に支払った際に費用計上すれば、トータルの税金は変わりません。いずれ払うなら一緒じゃないの?と思う方もいらっしゃると思います。
しかし、手許に少しでも多く資金を残そうとするのは自然のことです。費用をできる限り先に計上して課税を繰り延べることは、実施すべき処理といえます。
また、現行の法人税率は引き下げが行われているため、課税の繰延は効果的な節税といえます。平成27年3月期まで28.05%、平成28年3月期以降は25.5%になります。その後も法人税率の引き下げが行われる可能性がありますので、課税の繰延は効果的なのです。
いろいろと利点がある未払費用の計上は、身近なところからできる有用な節税です。検討の余地ありですね!!