健康食品の消費税は8%か10%か。軽減税率の判定基準を税理士が解説
公認会計士・税理士の筧です。
結論から言うと、健康食品・特定保健用食品(トクホ)・栄養機能食品・美容食品は、それが「食品表示法上の食品」であり「医薬品・医薬部外品に該当しない」限り、消費税の軽減税率8%の対象になります。逆に、薬機法上の医薬品や医薬部外品として承認・許可を受けている商品は、たとえ健康効果を訴求していても軽減税率の対象外で10%です。判定の分かれ目は「見た目や効能表示」ではなく「法律上どちらのカテゴリーに属する商品か」という点にあります。
よくある質問
Q. 「健康食品」という名前がついていれば軽減税率になりますか。
A. なりません。名称ではなく、その商品が薬機法上の医薬品・医薬部外品として承認・許可されているかどうかで判定します。同じ「サプリメント」でも、医薬品的な承認を受けているものは10%、食品として販売されているものは8%です。
Q. トクホや栄養機能食品は必ず8%ですか。
A. 原則として8%です。トクホも栄養機能食品も食品表示法上の「食品」に分類される制度であり、医薬品には該当しないためです。ただし個別の商品パッケージや許可内容によって判断が分かれるケースもあるため、疑義がある場合は確認が必要です。
Q. プロテインやおまけ付きのサプリメントセットはどう判定しますか。
A. 食品そのものであれば8%ですが、食品と食品以外(容器やおまけの雑貨など)がセットで一つの商品として販売される「一体資産」に該当する場合は、価額や食品部分の割合によって10%になることがあります。判定基準は後述しますが、境界線上の商品は税理士への確認をおすすめします。
なぜ「健康食品」の税率判定でつまずくのか
毎月の顧問先との面談で、健康食品・サプリメント・美容ドリンクを扱う会社から必ず一度は聞かれるのが「これって8%でいいんですか」という質問です。つまずく理由は単純で、消費税の軽減税率は「食品かどうか」で決まるのに対し、商品パッケージや広告では「効能」で訴求されているため、両者の基準がズレて見えるからです。
消費税の軽減税率制度における「飲食料品」の定義は、食品表示法に規定する食品(酒類を除く)を指します。そしてこの食品表示法上の「食品」からは、医薬品、医薬部外品、再生医療等製品(薬機法に定めるもの)が明確に除外されています。つまり判定の入口は次の二択です。
- 薬機法上の医薬品・医薬部外品として承認・許可を受けている → 軽減税率の対象外(10%)
- 薬機法上の医薬品等に該当せず、食品として流通している → 軽減税率の対象(8%)
特定保健用食品(トクホ)は消費者庁の許可を受けた「食品」であり、栄養機能食品も食品表示基準に基づく「食品」の一区分です。いずれも薬機法上の医薬品・医薬部外品には該当しないため、原則として軽減税率の対象になります。いわゆる健康食品・美容食品(法律上の明確な定義がなく、事業者が独自に呼んでいる商品群)についても、医薬品等の承認・許可を受けていないものであれば同様に食品として扱われ、8%です。
ここで経営者が誤解しやすいのは「効果効能をうたっているから医薬品扱いになるのでは」という思い込みです。薬機法上、無承認・無許可の食品が医薬品的な効能効果を標榜することは別の規制(薬機法違反)の問題であり、消費税の税率判定とは別の論点です。税率判定はあくまで「その商品が薬機法上どちらのカテゴリーで承認・許可を受けているか(あるいは受けていないか)」で決まります。
医薬品・医薬部外品との境界線で確認すべきこと
自社が販売している商品が医薬品なのか食品なのかは、実は多くの場合、仕入先や製造元から受け取る商品情報を見れば分かります。具体的には次のような資料で確認するのが実務的です。
- 商品パッケージの表示区分(「食品」「医薬部外品」「指定医薬部外品」などの記載)
- 製造販売元から発行される規格書・仕様書
- 薬機法上の承認番号や許可番号の有無
同じ成分(例えばコンドロイチンやグルコサミンなど)を含む商品でも、食品として販売されているものと医薬部外品として販売されているものが市場に混在しているケースは珍しくありません。税務調査でも、この「食品か医薬部外品か」の区分が曖昧なまま一律に8%で処理していないかという点は確認対象になりやすいポイントです。仕入時の請求書や商品マスタに税区分を登録する際、担当者の思い込みで「健康食品だから8%」と処理してしまい、実際には医薬部外品だったというミスが起こりやすい部分でもあります。
経理担当者としては、新商品を取り扱う際に「この商品は食品表示なのか医薬部外品表示なのか」を仕入先に必ず確認し、商品マスタの税区分登録の根拠を残しておくことが、後の税務調査対応において有効です。
一体資産(おまけ付き・セット販売)の判定に注意
健康食品業界で特に判断が分かれやすいのが「一体資産」です。一体資産とは、食品と食品以外の資産(容器、雑貨、非食品のプレゼントなど)があらかじめ一体となっている商品で、単一の価格が設定されているものを指します。
一体資産は原則として全体が軽減税率の対象外(10%)になりますが、次の要件をいずれも満たす場合に限り、全体を軽減税率の対象(8%)として扱うことが認められています。
- 販売価額(税抜)が一定額以下であること(具体的な金額基準は制度上定められています)
- その一体資産の価額のうち、食品部分の価額が占める割合が一定割合(概ね3分の2)以上であること
例えば、サプリメントに専用の携帯ケースが付属して一つの価格で販売されている場合、ケースの価値が全体の中でどの程度を占めるかによって、8%になるか10%になるかが変わります。この価額の内訳を仕入先から取得しておかないと、後から税率判定の根拠を示せなくなるため、一体資産に該当しそうな商品を扱う場合は、仕入時点で食品部分と非食品部分の価額区分を確認しておくことをおすすめします。
なお、この価額基準や割合基準は制度上の数値であり、将来的な見直しの可能性もあるため、最新の基準は国税庁の公表資料でご確認ください。
外食・ケータリングとして提供する場合は10%
健康食品そのものの販売は8%が原則ですが、提供方法によって税率が変わる点も見落としがちです。例えば、健康食品を使ったスムージーや美容ドリンクを店舗内で飲食させる形態(イートインコーナーでの提供)は「外食」に該当し、10%の対象になります。同様に、健康食品を使ったケータリング(顧客先に出向いて調理・提供するサービス)も10%です。
一方で、同じ商品をテイクアウトや宅配便で持ち帰り・配送する場合は、原則として8%の飲食料品の譲渡として扱われます。健康食品を扱う店舗が併設カフェやイートインスペースを持っている場合、レジでの税率区分(持ち帰りか店内飲食か)を明確にする運用ルールを設けておく必要があります。この区分を曖昧にしたまま一律の税率でレジ登録していると、税務調査で指摘を受けるリスクがあります。
税率判定を誤った場合の資金繰り・銀行対応への影響
税率区分のミスは、単なる「消費税の計算間違い」では済みません。仕入税率と売上税率の組み合わせを誤って登録していると、決算時の消費税確定額が変わり、想定していた納税額よりも多く(あるいは少なく)なることがあります。特に、本来10%で処理すべき医薬部外品を8%で仕入れ登録し、販売時も8%で処理していた場合、税務調査で遡って修正が入ると、過去複数年分の消費税を一括で追加納付する事態になりかねません。
これは資金繰りに直結する問題です。追加納税の発生タイミングが読めないと、銀行からの借入計画や納税資金の準備に狂いが生じます。健康食品・サプリメント関連の商材を扱う企業では、新商品の取り扱いを始めるたびに税区分の確認フローを社内で明文化しておくことが、後々の資金計画のブレを防ぐうえで実務上有効です。
まとめ:まず一つだけやるとしたら
自社が扱う健康食品・トクホ・栄養機能食品・美容食品について、商品マスタに登録されている消費税区分(8%・10%)が、それぞれの商品パッケージや仕様書に記載された「食品」か「医薬部外品」かの表示と一致しているかを、まず一度確認してください。特に新商品や一体資産(おまけ付き商品)を扱っている場合は、仕入先から食品部分と非食品部分の価額内訳を取得し、根拠資料として残しておくことをおすすめします。判定に迷う商品がある場合は、最新の国税庁資料を確認するとともに、顧問税理士に個別相談することをおすすめします。
💬 個別のご相談は初回無料相談で承っています → https://tax-co.grancers.co.jp/contact/
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