相続コラム「名義預金」

税理士法人グランサーズの黒瀧です。

東京では桜が全国に先駆けて満開になったと報道がありました。

東京では桜と新年度開始や入学シーズンが重なるので、気分一新で4月を迎える方も多いかと思います。

先日孫が高校入学するため、学費を支援したいという70代の方からご相談を受けました。

お金を孫に贈与するにはどうすればいいかという内容でしたが、すでに孫名義の通帳を開設し、口座へ資金移動するやり方をされていました。

一見、よくある話ですが、こちらは「名義預金」として、税務署から指摘を受ける可能性がありますのでご注意ください。

名義預金とは、形式的には被相続人の配偶者や子ども、孫などの親族名義の預金ですが、実質的には被相続人のもので、名前が親族になっているだけに過ぎない預金のことを言います。

そのような預金が被相続人に属するものか、親族に属するものかを判定するにあたっては、総合的に考慮して判断されることとなります。

たとえば、ご主人がなくなった場合、専業主婦であった奥様名義の預金残高が5,000万円あったとします。
税務調査では必ずと言っていいほど、この預金の経緯について質問されます。

内容次第では、奥様のものではなく亡くなったご主人の財産とみなされて、申告漏れを指摘されてしまいます。

名義預金か否かを判断する際には以下の点を踏まえて総合的に判断されます。
「うちは大丈夫」と思う前に、一度ご確認することをお勧めします。

  1. その預金の資金源はだれか
  2. その預金の存在を名義人は知っていたか
  3. 生前に贈与によってもらったものならば、贈与がきっちり成立しているか
  4. その預金の管理や運用をだれが行っていたか

たとえば口座開設を被相続人が行い、無駄遣い防止を目的に、印鑑やキャッシュカードを被相続人が管理していたのであれば、名義預金として取り扱われることになります。

せっかく家族のために行った贈与も、やり方次第では余計な課税を受けてしまうこともあります。

「うちは大丈夫?」などご不安な方や、不明点がある方は一度ご相談ください。

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