生産性向上設備投資促進税制では、取得した設備が①産業競争力強化法に規定する「生産性向上設備等」に該当し、さらに②税法上の要件を満たしている場合に税制措置の適用を受けることができる。
この点②の要件のひとつである「生産等設備」を構成する一定の資産であることに関しては、通達により「生産等設備」の定義が示されているが、同通達では一部が法人の生産等活動の用に直接供されているものは、その全てが生産等設備となることを明らかにしている。従って、本店・店舗共用建物についてもその全てが「生産等設備」となる。
但し、このことは本店・店舗共用建物の取得価額全額に対して税制措置を適用できることを意味しておらず、この場合の「取得価額」は、投資計画に記載された設備等による。
前述のとおり、同税制では①に該当したものが、②の要件を満たしている場合に税制措置を適用できる。そして①のうち、所謂B類型は、一定の設備等のうち、「事業者が策定した投資計画に記載された投資の目的を達成するために必要不可欠な設備」とされている。つまり「投資計画」に記載された設備等が強化法に規定する「生産性向上設備等」となり、ここに記載のないものはそもそも同税制の対象とならない。
従って、その他の税法上の要件を全て満たしている場合、投資画計画に「建物全体」が記載されていれば建物の取得価額全額、「店舗部分のみ」記載されていれば店舗部分に対応した取得価額に税制措置を適用することになる。
この場合、店舗部分と本店部分を合理的に区分し、店舗部分に対応した取得価額を算出することが必要となるが、この場合には建物の取得価額を面積比で按分する等、合理的な方法によることが考えられる。