次の要件を満たしたものは経過措置の適用があります。
○ 指定日の前日までに契約締結を行い、かつ施行日前から貸付をしていること
○ 当該契約に係る資産の貸付の期間及び当該期間中の対価の額が定められていること
○ 事業者が事情の変更その他の理由により当該対価の額の変更を定めることができる旨の定めがないこと
もしくは
契約期間中に当事者の一方または双方がいつでも解約の申入れをすることができる旨の定めがないこと
ではここで、オフィスとして借りている不動産について消費税の経過措置の適用の余地があるのかについて考えてみます。
お手元にご自身の会社の賃貸借契約書をご準備下さい。賃貸借契約書には下記のような記載がないでしょうか?
例①
「賃料が経済事情の変動、公租公課の増額等により不相当となったときは、賃貸人は契約期間中であっても賃料の増額請求できる。」
例②
(賃料)
第4条 乙は、頭書(3)の記載に従い、賃料を甲に支払わなければならない。
2 1か月に満たない期間の賃料は、1か月を30日として日割計算した額とする。
3 甲及び乙は、次の各号の一に該当する場合には、協議の上、賃料を改定することができる。
一 土地又は建物に対する租税その他の負担の増減により賃料が不相当となった場合
二 土地又は建物の価格の上昇又は低下その他の経済事情の変動により賃料が不相当となった場合
三 近傍同種の建物の賃料に比較して賃料が不相当となった場合
上記のような文言のある契約書がほとんどではないかと思われます。契約書に上記の記載があるときは、「事業者が事情の変更その他の理由により当該対価の額の変更を定めることができる旨の定めがないこと」には該当しません。
このため私見ですが、経過措置の適用のある事務所賃貸はほとんどないのではないかと思われます。