消費税の計算は、簡単にいうと、売上に関する消費税(もらった消費税)から仕入や経費に関する消費税(支払った消費税)を控除して算出します。
このうち軽減税率の適用がある事業者・会社にはこの売上税額や仕入税額の計算に関して特例が認められています。
この特例は税率の異なるごとに取引を区分することが困難な事業者が認められています。
具体的な計算式は下記の通りです。
1 売上税額の計算の特例
⑴ 小売等軽減仕入割合の特例による売上税額の計算方法(改正法附則 38②、41②)
① 卸売業及び小売業に係る軽減税率の対象となる課税標準額
卸売及び小売に係る売上(税込)× 軽減仕入割合(注) = 軽減対象資産に係る売上(税込)
(注)
軽減仕入割合=正式には、小売等軽減仕入割合という。
これは
卸売業及び小売業にのみ要する課税仕入(税込)のうち 軽減対象資産に係る売上げにのみ要するものの金額 ÷ 卸売業及び小売業にのみ要する課税仕入(税込)
により算出される
なお、主として軽減税率の対象品目の譲渡等を行う事業者で小売等軽減仕入割合の計算が困難な場合は、その割合を 50/100 とすることができる。
軽減対象資産の売上(税込み) × 100/108 = 軽減税率の対象となる売上
② 卸売業及び小売業に係る標準税率の対象となる課税標準額
(全体売上(税込)―軽減税率対象の売上(税込))×100/110=標準税率の対象となる売上
③ 売上税額の計算
軽減税率の対象となる売上 (税込)× 8/100 = 軽減税率対象の売上税額
標準税率の対象となる売上(税込)× 10/100 = 標準税率対象の売上税額
軽減税率対象の売上税額 + 標準税率対象の売上税額 = 売上税額の合計
(2)軽減売上割合の特例による売上税額の計算方法(改正法附則 38①、41①)
① 軽減税率の対象となる課税標準額
課税売上(税込) × 軽減売上割合(注) = 軽減対象資産に係る課税売上(税込)
(注) 主として軽減税率の対象品目の譲渡等を行う事業者で軽減売上割合の計算が困難な場合は、その割合を 50/100 とすることができます。
軽減対象資産に係る課税売上(税込) × 100/108 = 軽減税率の対象となる課税標準額
② 標準税率の対象となる課税標準額
(課税売上(税込)-軽減対象資産に係る課税売上(税込))×100/110=標準税率の対象となる課税標準額
③ 売上税額の計算
軽減税率の対象となる 課税標準額 × 8/100 =軽減税率対象の 売上税額
標準税率の対象となる 課税標準額 × 10/100=標準税率対象の 売上税額
軽減税率対象の売上税額 + 標準税率対象の売上税額= 売上税額の合計
仕入税額の計算の特例
○ 小売等軽減売上割合の特例による仕入税額の計算方法(改正法附則 39①、42①)
① 卸売業と小売業の軽減税率の対象となる仕入税額
卸売及び小売に係る課税仕入(税込)×小売等軽減売上割合(注) =軽減対象資産に係る課税仕入(税込)
軽減対象となる課税仕入(税込)× 8/108 = 軽減税率の対象となる 仕入税額
(注)
卸売業及び小売業に係る課税売上(税込)のうち軽減対象資産に係る課税売上(税込)÷卸売業及び小売業に係る課税売上(税込)
② 卸売業と小売業の標準税率の対象となる仕入税額
(全体の課税仕入(税込)―軽減税率の対象となる仕入(税込))× 10/110=標準税率の対象となる仕入税額
③ 仕入税額の計算
軽減税率対象の 仕入税額 + 標準税率対象の 仕入税額 = 仕入税額の合計