改正消費税講座 第7回:請負工事に関連する経過措置の概要(その1)

1.工事等の請負契約の概要

工事の請負については、その契約の締結から完成引渡しまで長期間を要するのが通例であり、契約の時期によっては新税率での契約ができないケースも多分に想定されます。そこで、8%税率への切替日である平成26年4月1日(施行日)より半年前の平成25年10月1日を「指定日」と定め、指定日の前日までに工事の請負等に関する契約を締結した場合には、工事の完成引渡しが適用日以降となる場合でも旧税率(5%)で課税することとしています(改革消費税法附則5③・⑥~⑧)。また、10%税率への切替日である平成27年10月1日(一部施行日)より半年前の平成27年4月1日を「27年指定日」と定め、指定日から27年指定日の前日までに工事の請負等に関する契約を締結した場合には、工事の完成引渡しが一部施行日以降となる場合でも旧税率(8%)で課税することとしています(改革消費税法附則16)。

(図表1)
実効税率 指定日 施行日
8% 平成25年10月1日 平成26年4月1日
10% 平成27年4月1日 平成27年10月1日

2.対象となる請負契約の範囲

  1. 工事、製造の請負に係る契約
  2. 測量、地質調査、工事の施工に関する調査、企画、立案、監理、設計、映画の製作、ソフトウェアの開発、その他の請負に係る契約(委任その他の請負に類する契約を含む)
  1. (要件)
    1. 仕事の完成に長期間を証するものであること
    2. 仕事の目的物の引き渡しが一括して行われることとされているもののうち、その内容につき相手方の注文が付されているものであること

3.その他論点

1 建物の譲渡契約

不動産業者が建築業者から建物を購入し、これを他の者に譲渡する場合であってもその譲渡契約につき、経過措置の適用を受けることができます。この場合には、当該建物の内装、外装、設備の設置や構造について、購入者の注文に応じて建築される建物が対象とされ、例えば壁の色やドアの計上等について特別注文を付すことができるような契約であればよいこととされています。

2 値増金の取り扱い(改革消費税法附則5③、旧改正法通達1-6-13)

(27年)指定日前に工事の請負契約を締結した後で、追加工事の注文や資材の値上がりなどを理由として値増金を別途収受することがあります。
本体工事の請負契約を(27年)指定日前に締結した場合であっても、この値増金の取決めが(27年)指定日以後に行われた場合には、この部分については経過措置の適用はなく新税率で課税されることになります。この場合の値増金の売り上げ計上時期ですが、目的物の引渡し以前に確定した場合には、その引渡しの日、引き渡し後に確定した場合には、その確定した日を含む課税期間における消費税の課税標準となります。
また、値増金とは逆に、当初の契約に基づく工事の一部を削減したような場合であっても、契約自体が取り消しになったわけではないので、当初の契約が(27年)指定日前になされたものであれば、経過措置の適用は認められています。

(図表2:5%から8%のアップ時の消費税率の関係)
5%から8%のアップ時の消費税率の関係を示した表

(図表3:各消費税率が適用される請負工事の関係)
各消費税率が適用される請負工事の関係を示した図

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