平成24年4月1日以後に開始する課税期間から、消費税の仕入税額控除の95%ルールの見直しが行われます。
従来の課税仕入れ等に係る消費税の全額を控除するという算式方法は、当課税期間における課税売上割合が95%以上かつ課税売上高が5億円以下の場合にのみ適用されます。
このため課税売上高が5億円超の事業者は消費税の仕入れ税額が控除できない部分が生じることとなります。
<損金未処理額は5年間で損金に>
消費税の仕入税額控除ができなかった仮払消費税等は、課税所得の計算上、損金算入できます。課税売上割合が80%以上であれば当年度において損金経理した額は資産の取得価額にかかわらず全額損金算入となります。
しかし損金経理していないものについては、当年度において繰延消費税等として資産計上され、翌事業年度で損金経理したとしても即時に損金算入できず5年間で毎年均等にしか損金算入できません。
<当年度の課税売上割合を基に決算書に反映させるのは困難>
従前から控除対象外消費税額等が発生している金融機関や不動産会社などでは、前年度の課税売上割合の実績を基にして算出した当年度の控除対象外消費税額等の見積額による損金経理を行っています。
そこで前年度実績などの数値で算出した当年度控除対象外消費税額等に対する損金経理は、合理的な数値によったものであれば、損金経理自体は認容されることとなりました。
ただ、控除対象外消費税等について、当年度の課税売上割合による実際の額(確定額)と確定決算で使用された合理的な基準による算定額(見積額)では一致しないため、申告調整をしなければならないこととなります。
また当該前年度実績等による課税売上割合で算定した確定額に大きな差がある場合は、見積額に係る損金経理が認められない場合があることにも留意が必要です。