第1回 相続ってみんな関係するの?
最近、何かと騒がれている「相続税」、ビジネス雑誌にもよく取り上げられていますし、テレビでも話題になっているのを目にします。その理由は、相続税法が大きく変わるからです。改正されることはご存知の方も多いのではないでしょうか。このコラムでは、相続税法の改正点や関連する贈与税について、さらには会社経営者の会社の承継など、相続に関係する様々な内容を書いていきます。
さて、「相続税」と言ったとき、「資産をたくさん持っている人が対象になるもの!!」といった声を耳にします。確かにそういうイメージはあると思います。この「相続税」がみんなに関係するようになるというのが、今回の改正内容です。丁寧にいうと、「相続財産の金額から控除できる金額が少なくなってしまうため、相続税の対象となる人が増える」ということになります。
詳しく見てみましょう。相続税の計算は、簡単には次の式で計算されます。
〔相続財産の金額(課税価格の合計) - 基礎控除額〕 × 税率
改正では、平成27年1月1日以後、「基礎控除額」が大きく減ってしまうため、今までよりも対象者が増えてしまうのです。改正内容は以下の表になります。
区分 |
基礎控除等 |
(現行)
H6/ 1 ~ H26/ 12 |
5,000万円 + 1,000万円×法定相続人数 |
(改正後)
H27/ 1 ~ |
3,000万円 + 600万円×法定相続人数 |
表を見ると、現行と改正後で、基礎控除額が大きく下がっていますよね。法定相続人数は、配偶者や子供(子供がいない場合には父母、父母もいない場合には兄弟)を想定してください。
下の例で具体的に計算してみます。
(例)「子供が2人兄弟、母親(配偶者)あり」で父親の相続を受ける場合
⇒法定相続人は3人(配偶者、子供2人)となり、基礎控除額は以下のようになります。
(現行) (改正後)
5,000万円 + 1,000万円×3人 = 8,000万円 |
||
3,000万円 + 600万円×3人 = 4,800万円 |
||
|
この場合、現行の相続税では、5,000万円+1,000万円×3人の計8,000万円が基礎控除額となります。つまり、8,000万円の資産までは、相続しても相続税がかからない、ということになります。
しかし、平成27年1月1日以降の場合、同様の事例で考えると、基礎控除額は3,000万円+600万円×3人の4,800万円が基礎控除額となります。
だいぶ下がっていることは、一目瞭然ですね。「今後は多くの人が相続税を払うことになる」ということが騒がれていますが、こうやって考えるとうなずけるのではないでしょうか。これが、誰にも関係するようになる相続税の原因といえます。
まずは、自分がどのくらいの相続資産があるか、これを知ることが大切です。少しでも考えてみてはいかがでしょうか?
担当 : 久留島 光博