消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法(以下、「転嫁対策特別措置法」といいます。)では中小企業が価格転嫁すること(転嫁カルテル)や、表示方法を統一すること(表示カルテル)が認められます。
今回はこのカルテルの緩和について説明いたします。
Ⅰ.カルテルとは
事業主が商品の価格を共同で取決め、競争を制限する行為のことをいいます。
本来であれば、カルテルは公正取引を阻害するため、禁止をされています。
Ⅱ.転嫁対策特別措置法で認められているカルテル
以下の転嫁カルテルと表示カルテルが認められます。
①転嫁カルテルとは?
消費税の転嫁の方法の決定にかかる共同行為のこと
具体例:
事業者がそれぞれ自主的に定めている本体価格に消費税額分を上乗せする旨の決定
消費税額分上乗せした結果、計算上生じる端数を、切り上げ、切り捨て、四捨五入等により合理 的な範囲で処理することの決定
②表示カルテルとは?
消費税についての表示の方法の決定にかかる共同行為のこと
具体例:
税率引き上げ後の価格について統一的な表示方法を用いること
・消費税込み価格と消費税額を並べて表示
・消費税込み価格と消費税抜き価格を並べて表示
Ⅲ.注意事項
①本体価格に関する取り決めは今回認められる転嫁カルテルにはあたりませんので注意してください。
②転嫁カルテルは参加事業者の3分の2以上が中小企業であることが必要です。
③これらのカルテルを行う場合、事前に公正取引委員会に届け出を行うことが必要です。