第4回では、交際費の計上により節税ができるという話をしました。今回は、具体的にどのようなものが交際費に入るのかを簡単に説明します。
交際費は、「取引先に対する接待費用」とお思いの方も多いのではないでしょうか。しかし、交際費には「事業に関係ある者等」に対する費用も含まれるのです。この中には、取引先だけではなく、将来の取引先となるような相手、また自社の役員や従業員も含まれています。
例えば、自分が相手をする業界に詳しい知り合いと一杯酌み交わした場合、きっとその業界の情報を得られ、ビジネスチャンスにつながるでしょう。このような飲食費でも、業務に関連する費用、「交際費」として認められる可能性が十分にあります。
基本は定義に則しているかどうか、つまり「事業に関係するもの」であるかどうかです。うまく事業に関連付けられれば、必要な費用で節税ができますね。
(ただし、第4回でも述べたとおり、たとえ交際費でも中小企業では600万円を限度として、通常の企業であれば全てが損金にはなりませんのでご留意ください。)
なお、租税特別措置法関係通達では、交際費に含まれるものの例示として以下が挙げられていますので、ご参考までに記載します(一部記載を省略)。
(1) 会社の何周年記念又は社屋新築記念における宴会費、交通費及び記念品代並びに新船建造又は土木建築等における進水式、起工式、落成式等におけるこれらの費用
(注) 進水式、起工式、落成式等の式典の祭事のために通常要する費用は、交際費等に該当しない。
(2) 下請工場、特約店、代理店等となるため、又はするための運動費等の費用
(注) これらの取引関係を結ぶために相手方である事業者に対して金銭又は事業用資産を交付する場合のその費用は、交際費等に該当しない。
(3) 得意先、仕入先等社外の者の慶弔、禍福に際し支出する金品等の費用
(4) 得意先、仕入先その他事業に関係のある者(製造業者又はその卸売業者と直接関係のないその製造業者の製品又はその卸売業者の扱う商品を取り扱う販売業者を含む。)等を旅行、観劇等に招待する費用(卸売業者が製造業者又は他の卸売業者から受け入れる(5)の負担額に相当する金額を除く。)
(5) 製造業者又は卸売業者がその製品又は商品の卸売業者に対し、当該卸売業者が小売業者等を旅行、観劇等に招待する費用の全部又は一部を負担した場合のその負担額
(6) いわゆる総会対策等のために支出する費用で総会屋等に対して会費、賛助金、寄附金、広告料、購読料等の名目で支出する金品に係るもの
(7) 建設業者等が高層ビル、マンション等の建設に当たり、周辺の住民の同意を得るために、当該住民又はその関係者を旅行、観劇等に招待し、又はこれらの者に酒食を提供した場合におけるこれらの行為のために要した費用
(注) 周辺の住民が受ける日照妨害、風害、電波障害等による損害を補償するために当該住民に交付する金品は、交際費等に該当しない。
(8) スーパーマーケット業、百貨店業等を営む法人が既存の商店街等に進出するに当たり、周辺の商店等の同意を得るために支出する運動費等(営業補償等の名目で支出するものを含む。)の費用
(注) その進出に関連して支出するものであっても、主として地方公共団体等に対する寄附金の性質を有するもの及び令第14条第1項第6号イに掲げる費用の性質を有するものは、交際費等に該当しない。
(9) 得意先、仕入先等の従業員等に対して取引の謝礼等として支出する金品の費用
(10) 建設業者等が工事の入札等に際して支出するいわゆる談合金その他これに類する費用
(11) (1)から(10)までに掲げるもののほか、得意先、仕入先等社外の者に対する接待、供応に要した費用で61の4(1)-1の(1)から(5) (※1) までに該当しない全ての費用
(※1) 寄付金、値引き及び割戻し、広告宣伝費、福利厚生費、給与等