記帳代行はどこまで頼める?費用相場と顧問契約・自計化との違い
公認会計士・税理士の筧です。
記帳代行で頼める範囲・費用の目安から、顧問契約にした場合の違いと自社に合う形まで、初回無料でご提案します。担当者の退職・不在でお急ぎの方もご相談ください。
経理担当者がいない、あるいは辞めてしまって社長や奥様が片手間で記帳している。この状態なら記帳代行はすぐに検討する価値があります。ただし記帳代行は「仕訳入力と試算表作成」までが基本範囲で、税務相談や申告、銀行対応のアドバイスは含まれないことがほとんどです。丸投げする前に「どこまで頼めるか」「どこから顧問契約が必要か」の線引きを決めておくと、後から追加費用や二度手間で困りません。
よくある質問
Q1. 記帳代行だけ頼めば、税金のことも相談できますか?
基本的には別です。記帳代行は領収書や通帳明細から仕訳を入力し、試算表を作るところまでが契約範囲であることが一般的です。消費税の納税額の見込みや役員報酬の見直し、申告書の作成・提出は、税理士との顧問契約またはスポット契約が必要になります。
Q2. 記帳代行の費用相場はどれくらいですか?
仕訳数と業務範囲によって大きく変わります。月の仕訳数が少ない個人事業主・小規模法人であれば月数万円程度、仕訳数が増えるほど費用も上がるのが一般的な目安です。顧問契約込みの相場感は後述しますが、金額は依頼先によって差があるため、見積りを取って比較することをおすすめします。
Q3. 自分で会計ソフトに入力する「自計化」と、記帳代行はどちらが良いですか?
正解は会社の状況次第です。自計化はコストを抑えられる一方、入力の正確性や時間コストが社長や担当者にかかります。記帳代行は外部委託することで属人化リスク(担当者が辞めたら経理が止まる状態)を避けられますが、月々の費用が発生し、試算表が出るまでに多少のタイムラグが生じます。
なぜ「丸投げしたい」と相談が増えるのか
毎月の面談で、経理担当者の退職や高齢化をきっかけに「もう経理は外に出したい」という相談を受けることが増えています。背景にあるのは次のような共通パターンです。
- 経理担当者が一人しかおらず、属人化していた
- 退職後、社長自身が夜間や週末に記帳をするようになった
- 結果として試算表が2〜3ヶ月遅れ、数字を見ないまま経営判断をしている
試算表が遅れる状態は、銀行融資のタイミングで致命的になります。決算が終わってから「実は資金繰りが厳しい」と気づいても手遅れです。記帳代行を検討するタイミングとしては、「経理担当者がいなくなった瞬間」が最も分かりやすい合図です。
記帳代行で頼めること・頼めないこと
頼めること(一般的な範囲)
- 領収書・請求書・通帳明細・クレジットカード明細からの仕訳入力
- 会計ソフトへのデータ入力と月次試算表の作成
- 科目残高や仕訳の整合性チェック
- オプションで請求書発行や支払代行まで対応する事務所もある
頼めないこと(顧問契約が必要な範囲)
- 消費税の納税見込み額の試算と資金繰りへの反映
- 役員報酬の見直しタイミング(定期同額給与の制約など)のアドバイス
- 融資を受ける際に「どういう決算書にすべきか」という銀行対応の相談
- 確定申告書・法人税申告書の作成と提出
ここが記帳代行と顧問契約の最大の違いです。記帳代行は「数字を作る」仕事、顧問契約は「数字を読んで経営判断する」仕事と考えると分かりやすいと思います。申告書を作るだけの関与は言わば”後処理”で、月次試算表をもとに経営の話ができる関与が”前処理”です。記帳代行単体は前処理の一部(入力作業)を代行するものであり、経営判断の伴走までは含まれないケースが多い、という前提で検討してください。
費用相場:仕訳数・規模でどう変わるか
記帳代行単体の費用は仕訳数(入力件数)と業務範囲でおおむね決まります。目安としては次のようなイメージです(事務所によって幅があるため、必ず見積りで確認してください)。
| 月間仕訳数の目安 | 想定される業種イメージ | 費用感の目安 |
|—|—|—|
| 〜100件程度 | 個人事業主、小規模な法人 | 月数万円程度 |
| 100〜300件程度 | 従業員数名〜10名規模の法人 | やや増額 |
| 300件以上 | 取引量の多い法人、複数店舗・部門 | 規模に応じて応相談 |
顧問契約込みで考える場合、一般的な相場感としては、年商1億円未満で月3〜8万円、年商1〜5億円で月8〜20万円程度という目安があります。決算料は別途で、月額顧問料の3〜6ヶ月分が相場とされています。金額の高い・安いだけで判断せず、「その費用でどこまでの業務が含まれるか」「経営判断の相談相手になってくれるか」を基準に比較することをおすすめします。
記帳代行だけ vs 顧問契約:何が違うのか
記帳代行だけの契約と顧問契約の違いは、月次で何を確認してくれるかに表れます。顧問契約であれば、毎月の面談で次のような項目を確認するのが一般的です。
- 今期の消費税の着地見込み(資金ショートを防ぐための事前把握)
- 節税と銀行評価のバランス(融資を予定している期は利益を残す判断が必要)
- 売掛金残高と手元現金の推移(利益が出ていても現金が減っていないか)
記帳代行だけの契約だと、試算表という「材料」は手に入りますが、それを読んで上記のような判断をしてくれる相手がいません。すでに顧問税理士がいて、入力作業だけを外注したい場合は記帳代行単体で十分です。一方、経理担当者もいなければ税務相談できる相手もいない、という状態なら、記帳代行だけでは不十分で顧問契約まで含めて検討する必要があります。
自計化(自社入力)という選択肢との比較
自計化、つまり社長や社内の担当者が会計ソフトに自分で入力する方法にもメリットはあります。コストを抑えられ、リアルタイムで数字を把握できる点は魅力です。ただし今回の相談で多いパターンがそうであるように、担当者が一人しかいない状態で自計化していると、その人が辞めた瞬間に経理が止まります。これは属人化リスクそのものです。
判断軸としては、「今、経理に月何時間使っているか」を金額換算してみることをおすすめします。社長自身が月10時間を記帳に使っているなら、その時間を営業や採用に使った場合の機会損失と、記帳代行の費用を比べてみてください。ケースによって差はありますが、時間を他の業務に振り向けた方が全体のコストパフォーマンスが上がることは少なくありません。
丸投げするときの資料の渡し方と注意点
記帳代行に切り替える際、渡す資料が整理されているかどうかで試算表のスピードと精度が大きく変わります。
- 通帳のコピーまたはネットバンキングのデータ、クレジットカード明細を月次でまとめる
- 請求書・領収書は日付順に整理し、用途が分かりにくいものはメモを添える
- 現金での支払いがある場合は、現金出納帳と実際の現金残高を照合しておく
- 資料の提出が遅れると、試算表の完成も遅れます。試算表が2ヶ月以上遅れる状態は、融資相談のタイミングで不利になりやすいため、提出のルールを最初に決めておくことをおすすめします
丸投げした後も、最終的な数字の責任は経営者にあります。月次の試算表が上がってきたら、売上・利益・現金残高の3つだけでも必ず目を通す習慣をつけてください。
記帳代行→顧問契約への発展の判断軸
記帳代行だけで始めた会社が、途中から顧問契約に切り替えるタイミングとしては、次のような場面が目安になります。
- 金融機関から融資を受けることを検討し始めた(決算書をどう見せるかの相談相手が必要になる)
- 売上が伸びて消費税の納税額が大きくなってきた、またはインボイス対応で課税事業者への転換を検討している
- 役員報酬の見直しを考えている(一般的には期首から3ヶ月以内に判断が必要とされるため、早めの相談が望ましい)
- 節税したい気持ちと、銀行評価を上げたい気持ちが両立しなくなってきた
- 決算書の内容について、誰からも説明を受けたことがない
これらのサインが出てきたら、記帳代行だけでは経営判断の材料が揃わなくなってきているタイミングです。グランサーズでは初回相談を無料で承っており、現在の記帳状況や仕訳数をお伺いした上で概算の見積りをお出しすることができます。記帳代行だけで足りるのか、顧問契約まで含めた方がいいのか、話しながら整理したい方はご相談ください。
まとめ:まず一つだけやるとしたら
直近3ヶ月分の通帳・クレジットカード明細・請求書・領収書を月ごとにまとめてみてください。それだけで、記帳代行に依頼した場合の月間仕訳数の目安が見えてきます。その資料を持って見積りを取れば、費用感も顧問契約の要否も判断しやすくなります。個別の税務判断に迷う場合は、顧問税理士または当法人にご相談ください。
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税理士法人グランサーズ所属の公認会計士・税理士、BackofficeForce株式会社 代表取締役CEO。中小企業オーナーの税務・資金繰り・銀行対応から経営判断までを一体で支援。YouTube「社長の資産防衛チャンネル」で情報発信を行う。
税理士法人グランサーズ所属の公認会計士・税理士、BackofficeForce株式会社 代表取締役CEO。数字の裏にある経営判断を重視し、中小企業オーナーの税務・資金繰り・銀行対応を支援。YouTube「社長の資産防衛チャンネル」で、経営者に向けて税務とお金の知識を発信しています。







