社長の手取りを増やす合法節税|役員社宅・出張日当・旅費規程の作り方と注意点
公認会計士・税理士の筧です。
役員社宅・出張日当・旅費規程を否認されない形で設計し、社長個人の手取りを最大化します。まずは無料相談を。
「役員報酬を上げると、その分だけ所得税・住民税と社会保険料も増えてしまう。手取りを増やしたいのに、報酬を上げても半分近く税金と保険料で消えていく」——中小企業の経営者から本当によく聞く悩みです。
実は、役員報酬そのものを上げなくても、会社の制度を整えることで社長個人の手取りを実質的に増やせる合法的な方法があります。代表的なのが、役員社宅・出張日当(旅費規程)・実費精算の3つです。これらは「会社が負担すべき費用を会社が負担する」形にすることで、社長が個人の手取りから払っていた支出を減らし、結果として手元に残るお金を増やす仕組みです。
この記事では、この3つの仕組みと整備のポイント、そして「やり方を間違えると否認される」注意点を、税理士の立場から解説します。あわせて、役員報酬そのものの最適な設定額については社長の年収・役員報酬は2000万円が壁|手取りが最大になる設定額もご覧ください。
よくある質問
Q. 役員報酬を上げずに手取りを増やせるのですか?
はい。役員報酬を上げると所得税・住民税・社会保険料がまとめて増えますが、役員社宅や出張日当、実費精算といった制度を使うと、社長が今まで個人の手取りから払っていた支出(家賃・出張費など)を会社の費用に置き換えられます。個人の課税所得を増やさずに実質的な手取りを増やせるのがポイントです。
Q. 役員社宅にすると、どのくらい得になりますか?
社長個人が借りている自宅を会社名義の社宅に切り替えると、家賃の多くを会社の費用にでき、社長は「賃貸料相当額」という一定の金額だけを会社に負担すればよくなります。個人で家賃を全額払っていた場合と比べ、実質的な住居費の負担が下がるのが効果です。ただし賃貸料相当額の計算には決められたルールがあり、これを無視して家賃をゼロにすると給与とみなされて課税されるため、正しい計算が前提になります。
Q. 出張日当は誰でも出せますか?
出張日当を非課税で支給するには、あらかじめ「旅費規程」を整備し、役職ごとの日当額などを定めておく必要があります。規程がないまま社長に都合よく日当を出すと、給与とみなされて課税されるリスクがあります。規程を整え、社会通念上妥当な金額で、実際の出張に対して支給する——この形が前提です。
Q. これらは脱税になりませんか?
なりません。いずれも税法・通達で認められた枠組みの中で行う「合法的な節税」です。ただし、実態を伴わない支給(出張していないのに日当を出す等)や、ルールを無視した過大な設定は否認・追徴の対象になります。「制度を正しく整えて、実態に沿って使う」限りは問題ありません。
1. 役員社宅——住居費を会社の費用に置き換える
社長が個人で賃貸住宅に住んでいる場合、その物件を会社名義で借り直し、会社が社長に貸す「役員社宅」にすると、家賃を会社の費用に計上できます。社長は会社に対して「賃貸料相当額」と呼ばれる一定額を支払えばよく、実際の家賃との差額分だけ、住居費の負担が軽くなります。
賃貸料相当額のルールを守るのが大前提
ここで最重要なのが「賃貸料相当額」です。役員社宅は「家賃をタダにできる制度」ではありません。役員が会社に一定額(賃貸料相当額)を負担しないと、その分が給与とみなされて課税されてしまいます。賃貸料相当額は、住宅の規模(小規模な住宅か、それ以外か、豪華社宅か)によって計算方法が定められており、固定資産税の課税標準額などをもとに算出します。
小規模な住宅であれば賃貸料相当額は比較的低く抑えられ、節税効果が大きくなりやすい一方、いわゆる豪華社宅に該当すると通常の家賃相当額の負担が必要になり、メリットは出ません。この計算を正しく行わずに「社宅にしたから家賃は会社持ちでゼロ」とすると、税務調査で給与認定され追徴されるおそれがあります。算式や区分は通達で細かく定められているため、導入時に正確な計算が不可欠です。
実務上の注意
会社名義で契約する(または契約者を会社に切り替える)、賃貸料相当額を役員報酬から適切に控除または役員が会社に支払う、社宅規程を整備する——このあたりを揃えておくことが、税務調査で問題にされないためのポイントです。役員社宅は効果が大きい反面、形式を整えていないと否認されやすい論点でもあります。
2. 出張日当と旅費規程——非課税でお金を渡せる仕組み
出張の多い経営者にとって効果が大きいのが、出張日当です。出張日当とは、出張に伴う細かな諸経費(食事代や諸雑費など)を精算する手間を省くために、1日あたり一定額を支給するものです。適切に整備された旅費規程に基づいて支給される出張日当は、受け取る社長個人にとって非課税で、かつ会社にとっては費用(損金)になります。
つまり、役員報酬として渡すと課税されるお金を、出張日当という形にすることで、非課税で社長に渡しつつ会社の費用にできる——これが出張日当の節税効果です。
旅費規程の整備が絶対条件
ただし、出張日当を非課税で支給するには「旅費規程」の整備が絶対条件です。規程では、対象者(役員・従業員それぞれ)、出張の定義(何km以上・何時間以上を出張とするか)、役職ごとの日当額、宿泊費の上限などを定めます。ここで重要なのは、日当額が「社会通念上相当な範囲」に収まっていることです。日当の非課税には明確な金額上限が法律で決まっているわけではなく、「常識的に妥当な額か」で判断されるため、社長だけ突出して高額な日当を設定すると否認リスクが高まります。
また、規程は社長だけを優遇する内容ではなく、役員・従業員に公平に適用される建て付けであることが望まれます。規程を作っただけで実際の運用がない、出張の実態がないのに日当だけ支給している、といった状態は否認の典型パターンです。「規程を整え、実際の出張に対して、妥当な額を支給する」——この3点が揃って初めて有効になります。
3. 実費精算——個人で払っていた事業支出を会社へ
3つ目は地味ですが効果の積み重なる実費精算です。事業に関連する支出——書籍代、セミナー参加費、取引先との会食費、業務で使う通信費など——を社長が個人の財布から払っているケースは意外と多いものです。これらは本来、事業に必要な費用であれば会社の経費にできます。
個人で立て替えた事業関連支出を、領収書をもとにきちんと会社に精算する運用を徹底するだけで、社長が個人の手取りから負担していた支出が会社の費用に変わり、実質的な手取りが増えます。特別な制度は不要で、「事業のための支出は個人で抱え込まず会社で精算する」という当たり前の運用を徹底することが、地味に効く節税です。
ただし、事業との関連性が説明できない私的な支出まで会社の経費にすると、これも役員給与や交際費否認の問題になります。あくまで「事業に必要な支出」であることが前提です。税務調査で経費性が問われやすい交際費まわりについては税務調査で交際費・ゴルフ接待が狙われる理由と否認対策もあわせてご覧ください。
3つに共通する「否認されないための原則」
役員社宅・出張日当・実費精算に共通するのは、次の原則です。
- 規程・契約など「形式」を先に整える(社宅規程・旅費規程・会社名義契約)。
- 金額は「社会通念上相当な範囲」に収める。社長だけを極端に優遇しない。
- 実態を伴わせる(実際に住んでいる・実際に出張している・実際の事業支出である)。
- 役員報酬の定期同額などのルールと矛盾しない形にする。
これらは「制度を正しく作れば認められるが、雑に使うと否認される」という性質のものです。うまくいけば役員報酬を上げずに手取りを増やせますが、形式と実態のどちらかが欠けると、税務調査で給与認定され追徴されるリスクがあります。導入前に税理士と設計しておくのが安全です。
まとめ:まず一つだけやるとしたら
社長の手取りを増やすには、「役員報酬を上げる」以外に、役員社宅・出張日当・実費精算という3つの合法的な方法があります。いずれも、社長が個人の手取りから払っていた支出を会社の費用に置き換えることで、課税所得を増やさずに手元に残るお金を増やす仕組みです。
まず一つだけやるとしたら、実費精算の徹底です。特別な規程がなくてもすぐ始められ、事業関連の支出を個人で抱え込まず会社できちんと精算するだけで効果が出ます。そのうえで、賃貸住まいなら役員社宅、出張が多いなら旅費規程の整備、と段階的に広げていくのがおすすめです。
当事務所では、役員社宅の賃貸料相当額の計算、旅費規程の整備、実費精算の運用ルールづくりまで、否認されない形での設計をご支援しています。「役員報酬を上げずに手取りを増やしたい」という方は、初回無料相談をご利用ください。
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税理士法人グランサーズ所属の公認会計士・税理士、BackofficeForce株式会社 代表取締役CEO。中小企業オーナーの税務・資金繰り・銀行対応から経営判断までを一体で支援。YouTube「社長の資産防衛チャンネル」で情報発信を行う。
税理士法人グランサーズ所属の公認会計士・税理士、BackofficeForce株式会社 代表取締役CEO。数字の裏にある経営判断を重視し、中小企業オーナーの税務・資金繰り・銀行対応を支援。YouTube「社長の資産防衛チャンネル」で、経営者に向けて税務とお金の知識を発信しています。







