平成27年度税制改正で、平成29年4月1日より消費税10%導入が決定されました。消費税10%導入はどの会社にも大きな影響になると思います。
この消費税負担を軽くするために、消費税についてもう一つ検討が進められています。それが「軽減税率」です。軽減税率とは、特定の商品やサービスに係る消費税率を低くするという内容です。例えば、基本的に10%の消費税がかかる中で、食料品には5%しか消費税がかからない、という内容です。消費税の負担を軽減させる、この軽減税率の導入が検討されています。
あなたは軽減税率を導入した方がいいと思いますか?
一見、消費税の負担を減らすことができる良い制度かもしれませんが、問題点が多いことからなかなか適用まで審議が進んでいないことが現状です。例えば、下記のような問題点が指摘されています。
- 多額の税収入減収を招く
国の収入源確保を目的とした消費税増税ですが、対応策である軽減税率を導入すると、実は収入がほとんど増えない結果となることが言われており、制度変革による効果がなくなってしまうことが指摘されています。
- 対象品目をどうするか
数々の商品、サービスがある中で、何に軽減税率を導入するのか、この点はそう簡単に決まるものではありません。例えば、食料品とした場合、「七草がゆの七草は食料品か?」といった細かいことも定めなければなりません。
- 事業者への事務負担が増す
様々な場面で事務負担が大きくなると懸念されています。商品の一つ一つの値段表示やレジ設定は、想像するだけでも大変ですね。
- 税務訴訟が頻繁になる
自らの商品、サービスに適用される消費税率が標準税率か軽減税率かを争う裁判が頻繁に起きることが懸念されています。実際に軽減税率を適用している海外では、税務訴訟が頻繁に起きています。
いろいろな問題がある軽減税率ですが、平成27年税制改正にて、「消費税率10%導入時に合わせて導入を目指す」と謳われました。現在でも国として検討が進められていますが、対象範囲の線引きが難しいことや、事務負担など課題が多いことから与党内で意見がまとまらず、5月以降審議が中断している模様です。
導入により事業者や消費者に大きな影響を与える「軽減税率」、導入はまだまだ先になるかもしれません。